20240227_ジェノヴァ水族館

ジェノヴァ水族館 Acquario di Genova に行った。

もともと私は水族館にそこまで強い情熱があるわけではなく、海洋生物にも全く詳しくない。人に誘われたら行くけど、自分から水族館に行きたいと強く思ったことはないなという程度だった。「ジェノヴァは水族館が有名らしいけど、せっかくイタリアに来て水族館に行くのもちょっともったいないかな…」と迷っていた。しかし行ってみたら楽しめた!

ちなみにジェノヴァ水族館がなにで有名かというと、こういう部分らしい。
・レンゾ・ピアノ設計(レンゾ・ピアノはジェノヴァ出身で、建築に関心がなくてもジェノヴァの人はみんな知っている存在らしい)
・ヨーロッパ最大級の規模

 

平日の朝10:30くらいから水族館に行く、というのがまず良かった。水槽の中で作業をしているスタッフをたくさん見ることができて、そういうふうに生物や環境のメンテナンスをしてるんだなとわかって面白かった。

例えば、ダイビングスーツを着て水中に入って、苔むした岩(苔じゃなくてサンゴとかイソギンチャクで覆われている岩?)をブラシでごしごし掃除しているスタッフがいた。別のところでは、小さい亀がたくさんいるエリアで、小さい亀1匹1匹に水をかけているスタッフがいた。水を浴びた亀は首を甲羅の中にひっこめていた。紫キャベツみたいな野菜を食べている亀もいた。

1番良かったのは、ゴマフアザラシ?の体調をチェックしている様子が見れたことだった。獣医師らしき人が、スーパーとかでバーコードを読み取る機械みたいなやつをアザラシの尾鰭の近くに当てている。その機械はおそらくカメラの機能があるようで、アザラシの体内の様子がモニターに映し出されていて、それを獣医師たちは注意深く確認していた。映画とかに出てくる、妊娠した人がおなかに機械を当てられてモニターで胎児の様子を確かめるやつに似ていた。エコー検査と言うんだろうか。獣医師は機械にまずジェルのようなものを塗ってからアザラシの体に当てていた。この機械は『動物のお医者さん』で読んだ気がする。その確認が終わったあと、(離れているのでよくわからないけどたぶん)注射針のようなものをアザラシの体に刺して、薬かなにかを注入しているようだった。

獣医師以外の2人のスタッフは検査の様子を見守ったり、おとなしくじっと処置を受けているアザラシに鯵みたいな小さめの魚を食べさせたりしていた。そして周りのアザラシも水面から顔を出して彼らの様子を見ていた。はじめ私は、そのアザラシにだけ病気があって特別な治療をしているのかと思ったが、一通りの処置が終わるとアザラシは元気に伸び上がって、また鯵を何匹かもらって、水面に入っていった。そしてすぐ次のアザラシが医師たちの立つスペースに上がってきて、同じように検査を受けた。なのできっとすべてのアザラシたちの健康診断をしているんだろう。アザラシはこの検査の流れを理解しているように見えた。スタッフたちはみんなでなにか話しながら作業をしていたが、声は聞こえなかった。われわれ観客はみんなほとんど喋らずに静かにその様子を見守った。

いくつかの水槽の前では小学生くらいの20~30人の子供が座って、大人が解説をしていた。大勢の子供が自由に水槽を見て回っている場所は賑やかだったけど、人が少なくて静かなエリアも多かった。スポンジボブやファインディングニモのキャラクターが描かれたパネルがあった。子供が楽しみながらわかりやすく体験できる工夫が多かった。60代くらいのお客さんもたくさんいて、じっくり展示を見たり写真を撮ったりしていた。

いろんな種類のサメが集まった大きい水槽があって、これも目玉のひとつなのかなと思った。特にノコギリザメ(Pesce sega/Pristis zijsron/Longcomb sawfishと書かれていた)は迫力があった。この種類のサメを見るのはたぶん初めてだなと思ったが、水族館にこのサメがいるのは珍しいことなんだろうか。館内の看板にこのサメのキャラクターが描かれていたので、もしかしたらこの水族館に特有な種類なのかもしれない。ジンベエザメが美ら海水族館の「顔」とされているような感じで。

↓ 泳ぐのが早くて写真を撮るのが難しかった

水槽以外のしつらえも見応えがあった。たとえばペンギンコーナーの水槽のまわりは南極の氷に見立てた白い曲面の壁になっていた。

ペンギンのエリアでは、水面がちょうど目線の高さに設定されていて、陸と水中の様子を同時に見ることができて面白かった(ペンギン以外のエリアにもそういう水槽はたくさんあった)。ペンギンがスイーッと泳いでから、実にスムーズに陸に飛び上がるのですごかった。ペンギンは筋肉の塊なんだろうか。水から陸に上がるタイミングが、ペンギンが最も鳥らしくなる瞬間かもしれない。

水槽に手を入れて生き物に触れるコーナーがあって、1辺20cmくらいのエイがたくさん泳いでいたので触らせてもらった。砂に埋もれるようにじっとしているエイもいたけど、積極的に近づいてきて触らせてくれるエイもいた。トゥルンとしたところと、細いトゲみたいなのがびっしり生えててザラザラしたところがあった。

海にごみを捨てると何が起こるか、というエリアにも力が入っていた。The sea we don’t wantと題された水槽の中にはプラスチックのカゴや網やボトルや三角コーンなどがたくさん入れられていた。よく見るとその水槽にも生物がいて、ウニや蟹がしっかり生きていた。そういうインパクトの強い展示と詳しい解説文で、教育的な水族館だと思った。

タコの足を模した機械も面白かった。ゆっくりした速度でくねる機械の隣の水槽には悠々と身をくねらせる本物の巨大なタコがいて、比べて見れる展示の仕方も良かった。

ショップの雰囲気は日本の水族館と同じような感じで、ぬいぐるみとかストラップとかマグカップとかTシャツとかが売られていた。どちらかというと子供向けのファンシーな絵柄が多かった。

順路は明瞭でほとんど一筆書きの一方通行なので、特に迷うことなく矢印に沿って進んでいたらひととおり見て回れた。館内は広いけど、びっくりするほどものすごく広いというほどではなかった。と思ったが、もしかしたらどこかのエリアを見逃していたのかもしれない。

チケットは前日の夜に公式サイトで買った。29€、けっこう高かった。早めに買うほど安いらしい。